不良債務を負ったことのある経験者が親身にサポートする

[NPO首都圏事業再生支援センター城南支部]

 
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●個人の場合
●1.強制換価手続きによる資産の譲渡による譲渡所得の特例
●2.保証債務を履行するために資産譲渡した場合の特例
●法人の場合
●1役員退職給与の支給
●過大役員退職金の判定基準
●しからば何が相当額であるのか
●2.会社清算
任意整理、任意売却を扱うとき、私が自分自身に最も注意を課している税金問題についてご説明しましょう。
この問題は個々の案件ごとに異なりますので、内容によっては専門の税理士にポイントとなる部分の見解を確認し、裏付けを持って行動するように心がけています。
 
個人の場合
一番の関心事は当該不動産を売却した場合に売却益が出るのかどうかということです。

バブル時の取得(購入等)であれば、ほぼ全部の案件につき売却時においては売却損ですので、譲渡税の課税対象になりません。
しかし取得(購入等)がバブル以前のもの、および取得の理由が贈与相続によるものの場合は、取得価格が売却価格より低く、ほとんどの案件について売却益が生じ譲渡税の課税対象となる可能性が大きいです。
また厄介なことに、個人の税金には時効がないということです。
この対応を間違えますと、折角債務整理のために担保不動産を売却したにも拘らず、また新たな債務を負い苦しむ結果になりますので、熟慮を要します。

このことについては、次の税法上の特例があります。

 
1.強制換価手続きによる資産の譲渡による譲渡所得の特例
<所得税法9条1項10号>

税法の趣旨は「担税力(納税資力)がなく、徴収が不可能と認められる場合は譲渡がなかったものとみなす」となっています、つまり非課税の位置づけです。

しかしその要件として「資力を喪失して債務の弁済が著しく困難である場合における強制換価手続き(競売、破産手続き)により譲渡されたもの」および「資力を喪失して債務の弁済が著しく困難であり、かつ強制換価手続きの執行が避けられないと認められる場合における資産の任意譲渡(任意売却)による所得で、その譲渡に係る対価の全部がその債務の弁済(および譲渡に係る費用)に充てられたもの」となっています。

つまり競売ならば「その所有者の財産状態が悪化し自己財産の全部をもってしても債務の全部を弁済することができない状態に陥ってはじめてなされることが多いこと」から原則として課税対象にならないのですが、まれに資力が回復していたり、また債務の返済が進み残債務がすでに減少している場合で落札後、債務者にも配当されるような場合は納税資力があると判定されることがありますので注意を要します。

さて、以上のとおり任意売却についても、競売と同様に認められていますが、「任意譲渡が強制換価手続きと同様の事情の下で行われることを前提」にしているので、「対価の一部が債務の弁済以外に流用される場合には、この前提を欠くことになり、未だ納付能力を失っていない」と判定される恐れがあります。
 従って、事実の実態をよく精査把握したうえで熟考し、内容によっては他の方策を検討する必要があります。また場合により競売等による処分をお勧めすることもあります。
 
2.保証債務を履行するために資産譲渡した場合の特例
<所得税法64条2項>

税法の趣旨は「保証債務を履行するために資産を譲渡した場合で、保証債務の履行に伴う求償権(保証人の債務者に対する請求権)の全部または一部を行使することができないこととなったときには、次(略)に掲げる金額(行使不能額)のうち最も低い金額については、譲渡がなかったものとみなす」となっています。つまりその金額部分については非課税の位置づけです。

適用要件としては「債務者の債務等(利息、違約金、損害賠償金含む)の弁済をするために自己の資産を譲渡した場合で、譲渡した資産が弁済する債務等の担保に供されている場合はもちろんのこと、担保に供されていない場合であっても保証債務を履行するための資産の譲渡」ならばよいことになっています。
ただし「債務者に支払能力があると認められる場合には、たとえ求償権を放棄した場合であっても、この特例の適用を受けることはできない」ことになっています。

債務者に支払能力がないかどうかの判定、つまり「求償権の全部または一部を行使することができないこととなったかどうかの判定は求償の相手である債務者等について、別に定める譲渡代金の貸し倒れの判定基準に該当するかどうかにより判定」されます。

この判定基準の概要については相手方の債務者が、@会社更生法での決定で切り捨てられた場合、A民事再生法、破産法、商法の特別精算、等々の法的手段を用いて切り捨てられた場合、B(法によらない任意整理の場合であっても)債権者等の関係者の協議決定(例:債権者集会等)または金融機関等の斡旋による当事者間の協議契約で切り捨てられた場合、更にC「債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その債務の弁済を受けることのできないと認められる場合で、保証人がその債務者に対し債務免除額(求償権放棄書)を書面で通知した」場合、等です。

 
法人の場合

この問題については、私自身の体験事例からそのポイントを列記させて頂きます。

当然のことですが、法人の場合は個人と異なり法人税についての対応となります。
つまり売却益が大幅にでる担保不動産を売却しますと、当該不動産の引渡し時に担保抹消と引き換えに譲渡代金の全部または一部を弁済した上に、後日法人税が課税され、納税義務が生じることになります。
もちろんこの益金に見合うだけの青色損金等の損金および吐き出せる含み損、および従業員退職金等の経費の損金があれば、何も問題はありませんが、譲渡益が大きいことで対応できないとき、どうするかが問題になります。

このことについてはそれぞれの会社により事情が異なり、なかには意に反する内容と受け取られお叱りを受けるかも知れないような内容ですので、一概に申し上げられませんが、次の方法が考えられます。
 
1役員退職給与の支給

現実?に役員の退任が伴います。また後任の役員(例:ご子息)が必要ですので、会社の事情によっては実行が困難かと思われますが、有効な方法の一つではあります。

 
過大役員退職金の判定基準
<法人税36 施行令72条>
「役員の退職給与のうち、その額が、その役員の在職期間、その退職の事情、その法人と同種の事業を営む法人で、その事業規模が類似するものの役員の退職給与の支給の状況に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当と認められる金額を超える場合、その超える部分の金額は、損金の額に算入されない」こととされていますので、過大な支給はできません。また「その事業規模が類似するものの役員の退職給与の支給の状況に照らし」といいましてもそれを知ることはほぼ不可能に近いです。
 
しからば何が相当額であるのか

国税局の問答集193によると
@ 相当と認められる退職金額
  =退職時の報酬月額×勤続期間(年数)×功績倍率です。
  この功績倍率は、代表者について見ますと、S60最高裁判例で3倍、
  H1東京高裁判例で2.2倍となっています。つまりこの係数が
  一つの目安になります。
A またある会社の次の内容による役員退職金規定を設けるに当たって
  の質問に対して、役職によってそれなりの差異を設けておられ、
  かつ判例から見ても特に過大な功績倍率とは考えられなく、
  過大退職金と判定されることはないものと考えられる。と回答
  しているようにこの辺の係数も目安になります。

当該のある会社の規定での功績倍率
代表取締役社長および会長3.0  専務取締役2.5  常務取締役2.2
  取締役1.8 監査役1.8

退職金相当額の設定についてはこのように微妙な部分がありますので、基本は取締役会において役員退職金規定を事前に作成することをお勧めします。

またもう一つのポイントとしては基礎となる退職時の報酬月額です。
経営上苦しいがための問題整理ですので、融資先の金融機関対策の関係等で、赤字にできない、赤字を少なくしたい、現実にお金がない、また所得税の軽減等の理由で役員報酬を切り詰めていることが多々見受けられますが、方針が確定したならばそれの全部または一部が未払金経理であったとしても増額をお勧めします。できることならば早い時点で。

 
2.会社清算

清算とは会社を終わらせることで、決算年度は株主総会で解散を決議したとき、または解散を登記したときで区分されます。
そして会社の経理は解散の日から従前の取得原価(簿価)主義から総資産主義に変わるということです。つまり会社が継続されている段階では、個々のものの取得原価をもとに個々の損益を算出していますが、解散後は借り方貸し方の全部の資産を再評価し、実際の価格で換価し、その損益(残余財産)である清算所得がプラスであれば資本金額等を控除した金額に対し法人税等計51%の課税がなされるということです。もちろん従業員退職金および清算業務費用等、清算に必要な経費は認められます。
また決算期についても解散から清算結了までを清算事業年度とし、何年かかろうと1期となります。

しかしこの難点としては清算を引き伸ばし課税対象である残余財産からより多く分配されてしまうことを防止するため、清算事業年度内といえども従前の決算期に従前の取得原価主義で、更に残余財産の分配時にその都度、申告し税金の予納を義務付ける制度があります。
この予納金は清算所得次第で、いずれ清算終結時に還付されますが、担保権者については当該不動産の売却時に無条件で弁済させられるとしても優先債権である。労務債権ならびにある配当率での一般債権者に対する弁済に支障をきたしますので、内容によっては終結を急がざるを得ないことになります。

以上は、債権者との話合いによる任意整理を前提に述べましたが、なかには債権者との話合いが不調となることもあり、任意整理の過程での一便法として法的手続きを要することもあります。

このように清算という手法に踏み切ることにより、退職金を確保したり、法人税を軽減させたりすることができるということをお伝えしたかったわけです。
これらを駆使することで必ず良い方策が見つかる筈だと考えています。

なお最初の段階で任意整理が困難だと判断された場合、自己破産、民事再生法、商法の特別精算、会社整理等の法的手段を用いることとなりますが、内容によっては会社売却、会社分割、会社合併、(第二会社乗換え)、(不動産M&A)の方法も考えられます。
このことは事業再生の欄をご覧下さい。
この場合は、専門の税理士、弁護士、不動産鑑定士、不動産業者等の各専門分野の先生方がそれぞれの役割分担の下にチームを組み、かつ、これを統括する専門のターンアランドマネージャーを必要とします。