朝日新聞マイベストプロ

 

 

合資会社大誠企画 代表者の大森孝成と申します。

今日の私の理念や経営ポリシーの形成は、紛れもなく過去の負の経験が基礎になっております。

若気の至りとは言え、家業の経営と傾きに対応できず自宅の売却や事業の引き際のタイミングを失ってしまい文字通り財産を含む全てのものを失いました。

更に会社倒産後においても、迷惑をかけた債権者の損害をできるだけ軽減させ、従業員の雇用を確保させたいと懸命に努力すればするほど、自分や家族の首を絞めることになり、結果は悲惨なものとなり自身の稚拙さをつくづくと痛感しました。

それでも、私の実体験が急激な状況の変化に伴い自宅の売却や事業、仕事で悩まれている方々の一助になれば本望です。

もし、ご自宅やお仕事で悩まれている方がいらっしゃいましたらぜひご一報頂けますと幸いです。

 

1、あくまでも債務者の利益のために働くという一貫した姿勢

自宅売却や事業の進退で悩んでおられる方の心強い味方となって、「自宅売却」と「事業再生」を柱に事業を展開する「合資会社大誠企画」代表取締役の大森孝成さん。

「あくまでも債務者の利益のために働いているわけですから、その姿勢は一貫していないと信頼は得られません」と話す大森さん最大の特色は、その人生経験にあります。

 

その昔、祖父、父の代から製紙業を営む事業家の家系に生を受けた大森さんは、父の会社で事業拡大に向け多忙な毎日を送っていました。当時、会社と工場を千葉県市川市に構えていましたが、都市計画法変更による公害規制強化があって移転に迫られることになります。そこで、昔から付き合いのあった地方銀行から休眠中の工場の再生を依頼され、出身地である岡山県へ移転させます。

しかし、8年間は操業を続けたものの、移転によって一からのスタートとなった代償は大きく、倒産を余儀なくされます。当時の負債額は55億円。代表だった大森さんの父は、それでも製紙業への未練を捨て切れず、事業再生を希望。別会社を設立して再スタートを切りますが、結局、大森さんが40歳の頃に会社を売却することになりました。

 

 一方、大森さん自身は東京都江戸川区に移り、箱を製造する印刷紙器の工場を設立。

「代々続いていた家業の影響か、紙関連しか頭にありませんでした」と。さらに、平行して既に病床にあった父親の会社の後始末も一人で担うことに。会社の労働組合とも協議を重ね、岡山と東京を往復しながらの生活は心身ともに大森さんの負担となってのしかかります。江戸川の工場も一部引継いだ負債と設備の返済に追われ、次第に事業を畳もうと考えるようになっていきました。これらの会社整理に伴う自宅や本社、工場の売却で初めて不動産に興味を持った大森さんは、サラリーマンとして働きながら勉強を始め、宅地建物取引主任者の資格を取得。平成4年に現在の「合資会社大誠企画」として現在の仕事を始めたのです。

 

2、任意売却と事業再生を業務の柱に

主な業務内容は当初、不動産が中心でしたが、大森さんは「自分のような経験を乗り越えてきた人は少ないのでは」と考え、資格を取得して事業再生アドバイザーとしても活躍の幅を広げています。経営者や会社の後処理を行った当時の経験が、現在の仕事に活かせている部分は大きく、不動産に関しても悩める方を救うという気概を持って自宅売却を手がけるようになりました。

これにより、悩める方が抱えている多くの問題のトータルサポートできるような体制を整えることができました。

 

 自宅売却については個人の方がほとんどで、「住宅ローンを支払えない」「相続による税金が発生した」など、さまざまな理由で苦境を解消するために自宅を売却したいと希望します。スムーズに手続きを進めるためにはご本人・銀行等・買主の三者を納得させる必要があります。売却は一般的な戸建て、マンションであれば買い主を見つけることは難しくないそうですが、銀行等の債権者を納得させるのに苦労する場合もあります。

そこは、大森さんの腕の見せ所。詳細な資料を作成し、納得させるだけの材料を持って直接交渉に当たります。

返済が滞っている場合は不動産が競売にかけられることもありますが、「事前に対応するのが理想ですが、競売物件となってからでも対応は可能です」と語ります。

 

3、債務者の悩みを共有できる存在として

 依頼者にとっての不安材料は、窮状にあって冷静な判断が難しい悩める方・債務者に付け入ろうとする悪質業者です。

大森さんは一つの判断材料として、どれだけオープンにご本人と向き合うかを挙げます。大森さんの基本的なスタンスは、依頼者に対しては、債権者との進捗状況等々、全てをオープンに開示し、銀行等の債権者に対しては粘り強く交渉を行うことです。困窮状態にある債務者の気持ちは、多額の不良債権によって苦しんできた大森さん自身が最も理解しています。実際、大森さんの経歴を知り、悩みを共有できると考えて事務所を訪れる依頼者が後を絶ちません。

とはいえ、債務者側にも「自ら主導のもとで解決させようとする強い気持ちが重要」で、大森さんはそれをサポートしたいと語ります。

 

 「自分と同じ辛い思いをしている悩める方の力になりたい」という思い一心で、苦難を乗り越えてたどり着いた「大誠企画」という会社。

現在は「JSK認定事業再生アドバイザー」や「NPO首都圏事業再生支援センター」の一員としてなど多様な顔を持ちながらも、

実体験を軸とした債務者に寄り添う魂は不滅の精神です。

また学生時代から趣味にしているヨットのように、過去の大波を乗り越えてきた大森さんほど、悩める方にとって頼もしい味方は存在しません。

2014年5月 朝日新聞マイベストプロ